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第二章

 

 

 

 

 

第一節~友人K~

 

 

 

 

中3くらいになってくるとドラムマニアにも飽き、ゲーセンでたまにやる程度になっていた僕に、衝撃的な出会いが訪れます。

それは友人K。同学年で、クラスは違えど、バスの便が一緒だった、帰宅部で覇気のないヤツ。

 

当初はめちゃめちゃ仲がいいって訳じゃないけど、バスで席が隣だったらまぁなんか話すかくらいの友人。

そんな友人Kがある日、ドヤ顔で「今日はドラムのレッスンがあるんだ」と話す。

帰宅部で覇気のないKが、めずらしく自分の事を話した瞬間だった。

 

 

 

「ドラムのレッスン!??」

 

 

 

当時の僕は、ドラムマニアこそやっていたものの、本物のドラムなんて見たことがなかったし、そもそも存在すら知らなかった。

僕の中でドラムはあくまでゲームの中のものだったのだ。

 

衝撃の事実を知った僕は、その日の内にインターネットでドラムの事を調べた。

中3でパソコンを使いこなすマセたガキだった。

 

YahooかGoogleか何かで「ドラム」と打ち込み、Enterを押す。

そこで始めてホンモノのドラムを目撃する。

「これがホンモノのドラムか!!!」

 

その数日後には、自分の部屋にドラムがあった。 

懐に入れていたお年玉をひっぱり出し、親に渡して、ネットで買ってもらったのである。

僕が親だったら買い与えない。絶対。

 

シンバルやスタンド、ペダルなど、必要なものがすべてそろったオールインパック

価格は確か48000円くらい。初心者のくせにタムが4つ。ませたガキだった。

 

それが中3の一学期の終わりの出来事であります。

 

 

 

 

 

 

 

第二節~初バンド結成~

 

 

ホンモノのドラムを手に入れてからは学校から家に帰るのが楽しみな毎日。

夜になって「ウルサイ!!」と止められるまで、安物のドラムを叩き散らしていたのであります。

 

そんな日々の中、「ギターが弾けるらしい」と評判だった友人の元を訪ねます。

成績はクラスで1番、テニス部所属だが、地味なルックスで努力家だった友人に、バンド結成の話を持ちかけたのであります。

その2人を中心に、寄せ集めの初心者を集めてバンド結成。

 

2学期に開かれる文化祭に向けて、練習を始めるのであります。

 

 

 

 

第三節~初ステージから高校卒業まで~

 

 

 

色々あって結局夏の文化祭には出れず、僕の初ステージは中学の卒業会でした。

 

高校1年からは毎年文化祭のバンド企画で演奏し、時には2バンド掛け持ち、なんてこともありました。

 

当時はバンドが少なかったので、僕らのバンドは注目の的。 

100人以上の黄色い声援を受け、なんとも贅沢なライブを毎年こなしていたのです。

 

 

高校の三年間はあっという間に過ぎ、大学進出も決まり一安心。この頃はミュージシャンになるなんて考えはこれっぽっちもなく、順風満帆な人生を歩んでいたのです。

 

そんな僕に、人生の転機が訪れます。

 

僕の初代ドラムセット、Tony Smith。今考えると見た目は豪華なセットだったけど、荒い作りでヘッドはすぐ破れ、シンバルも割れた。

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