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サウンド編

 

 

 

まず始めに、「サウンド」面でのグルーヴについて持論を述べたいと思います。

 

このサウンドは更に3つの要素で説明することができます。

 

 

・タイミング

 

・ボリューム

 

・トーン    

 

です。

 

 

日本語に言い換えれば、

 

・打点

 

・音量

 

・音色

 

になります。

 

 

 

構成要素の中でも重要だと思われる順に並べました。

 

 

 

~タイミング~

 

 

これはつまり、演奏する、音を出すタイミングのことです。

グルーブや曲を演奏する際には、それぞれ「演奏すべきタイミング」があります。一般的に言えば、譜面に書いてある音符が「演奏すべきタイミング」だと言えます。

この「演奏すべきタイミング」に音を出すというのがグルーブ形成への第一歩であります。

 

グルーブとは「ある一定の周期」の繰り返すことで生まれます。

ある一定の周期をループすることにより、グルーブを作ることができるのです。

 

この「ある一定の周期」とは、「点」の集合体です。複数の点を繰り返すことにより、グルーブが生まれるわけです。

この点はすなわち、音符によって表すことができます。

この音符が演奏するべきタイミングであり、音符に向かって(音符に合わせて)演奏者は音を出すわけです。

 

ここで重要なのは、「正確さ」です。

いかに正確に演奏するかが重要になってくるわけです。出すべきタイミングで正確に音を出さなければ周期は乱れます。

4分なら4分に、8分なら8分に、16分なら16分に、正確なタイミングで音を出します。

 

この「正確なタイミング」を「グルーブポイント」、「ポケット」なんて言ったりします。

黒人がよく使う表現で、「Play in the POCKET」っていうのはこれです。

 

総合すると「音を出すべきタイミングに対していかに正確に音を出すか」ということになります。

 

その音を出すべき「点」すなわち「タイミング」は、ジャンルや曲によって様々で、例え同じ曲でもプレイヤーによって捕らえ方が異なります。ここを正確に捉えられるかが肝になります。

ライブ音源とスタジオ音源でも違うし、リスナーのそのときの気分でも異なります。これがいわゆる、曲のフィーリングを左右させるわけです。

 

すなわち、例えばある曲を演奏するとき、その曲で表現されているタイミング(フィーリング)を正確にくみ取り、体に染み込ませ、かつアンサンブルの中で正確なタイミングで音を出せる「技術」が、グルーブを出すのためには必要不可欠なのであります。

 

 

 

 

 

~ヴォリューム~

 

 

 

要は「音量バランス」です。グルーブを多彩に表現するために、音量をコントロールする必要があるためです。

例えばとある曲の譜面をパソコンに打ち込んだとき、そのまま再生すれば出てくる音はタイミング的には正確無比ですが、音量コントロールのない、フラットな音量バランスです。

「機械にグルーブは出せない」とよく言われる所以は大部分がこの音量の問題です。

卓越したミュージシャンは、譜面上ではフラットな音符を、実に幅広い音量バランスで演奏します。

ほとんど聞こえないような小さい音から、耳に痛いほどの大きな音まで。そのミュージシャンが上手ければ上手いほど、ヴォリュームの幅は広く、コントロールが卓越しています。

 

これは各楽器でも、バンド全体でも同じです。

 

「ドラムがでかすぎて」

 

「ベースが小さくて」

 

 

などの各楽器のバランスでもグルーヴの聞こえ方は変わる(壊れる)し、

 

 

 

「大きな会場でステージが遠い」

 

「小さいハコで爆音すぎる」

 

 

などの場合もグルーヴの聞こえ方は変わります。

「演奏してるのはぐルーヴィーなバンドなはずなのに、なぜかノれなかった」なんて経験はございませんか?

これはほとんどがヴォリュームの問題です。音量バランスが悪かったり、音が小さすぎる、デカすぎる場合もグルーブの聞こえ方は変わります。

 

つまり、例えばある曲を演奏するとき、その曲のグルーブの強弱、音量バランスを正確にくみ取るセンス、耳と、それを正確に表現する「技術」が、グルーヴを出すためには必要不可欠なのであります。

 

そしてバンドの中で、曲のフィーリングやハコの大きさ、反響の具合、リスナーの気分などの環境に対して適切な音量を読み取り、その適切な音量をコントロールする「技術」も必要です。

 

 

 

 

~トーン~

 

 

 

上の2つはとてもシンプルで分かりやすい要素だったかと思います。

ただこの「トーン」は少し複雑です。違いが分かりにくい項目でもあり、見過ごしがちですが、実は非常に重要なファクターとなります。

 

トーンという言葉でよく表せられる表現は、音が

 

「硬い」⇔「柔かい」

 

「鋭い」⇔「緩い」

 

「深い」⇔「浅い」

 

 などです。

 

 

楽器の奏法で例えると、ギターで言えばピックを使って弾くか、指で弾くか、ベースで言えばスラップしたり、リア側で弾いたり、ドラムで言えばストロークのスピード、距離などの影響で、同じ楽器で同じ人が弾いても音色が変わってきます。

 

 

楽器のセレクトで例えると、ギターで言うとハコ物かテレキャスか、ベースで言うとジャズベかプレベか、ドラムで言うとヘッドがコーテッドかクリアか、などの要素でトーンが変わってきます。

今挙げたのはほんの一部で、実際は様々な要素が複雑に絡み合って、トーンが決まってきます。

 

僕はドラマーなのでドラムの事しか分かりませんが、トーンが大きく変わるドラムの要素としては

 

 

 

・シェルのサイズ、厚み、材質、密度

 

・ラッカーかカバリングか

 

・ヘッドの厚み、材質、ミュート具合

 

・スティックの材質、重さ、密度、長さ、チップの形状

 

・ヘッドをヒットする際のスピード、重さ

 

・シンバルの形状、サイズ、薄さ、材質、フィニッシュ

 

このあたりでしょうか。

 

 

 

この様な楽器のトーンの変化は、様々なジャンルの音楽の中での楽器の聞こえ方、印象の変化に繋がります。

例えば大音量のメタルバンドでは、柔かい音では他の楽器の音量に呑まれ、聞こえずらくなってしまいます。

反対にクラシカルなジャズだと、全体的に丸い柔かい音が合う場合が多いです。

 

以上のように、それぞれのジャンルやバンドサウンドの中での最適なトーンを出すことが、各楽器の演奏者に求められることになります。

そのためには楽器のバリエーションや、トーンを使い分ける奏法、技術が必要になります。

様々なグルーブの中で他の楽器の邪魔をすることなく、かつ埋もれないトーンを知り、楽器選びや様々な奏法を駆使して最適なトーンを出すことが、グルーブを出すために必要なことなのです。

 

 

 

まとめ

 

以上、グルーブをサウンド面で考察し、述べてみました。いかがでしたでしょうか?いわゆる日本人が考えそうな、理論的な表現でした。

 

次の項目は理論立てることが難しい、人間の「心理」が関わる「ヴァイブス(vibes)」です。

僕なりに考えてみようと思います。

 

 

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